好き・・・大好き・・・
そして、タイムを全部測り終わった。
西村先輩と一緒に計算をしている。
「ホント輝って速いよな。」
「そうですね。」
結局順位は1位が二人いる。
1位は西村先輩と輝だった。さすが、と思った。
「おめでとうございます。」
「ありがとう。でも、輝に言わないの?」
「えっ!」
私はびっくりして西村先輩の方を見た。
「なんてね。でも、舞恋ちゃんが思っているより、輝はいいやつだよ。」
な、何が言いたいんだろ先輩・・・
「そ、そんな話。まるで私が輝のこと好きみたいじゃないですか!」
「あはは。ま、いずれわかるんじゃない?」
「え・・・?」
「さ、練習に戻ろう。」
西村先輩は記録用紙を持ってグランドへ向かった。
いずれってなによ。私は西村先輩のあとをついていった。
西村先輩が発表している中、輝はこそこそと未来さんと話している。
何を話しているんだろ。話終わると未来さんはこっちを向いて笑ってきた。
未来さんが考えていることよくわかんないな。
私もニコッと笑い返した。でも、よく見ると未来さんが輝の腕にしがみついていた。輝の顔を見ると輝はなんだか険しい顔をしていた。きっと何か企んでいるのだろう。
「よし、筋トレはじめるぞ。未来ちゃんと舞恋ちゃんはみんなのバットを用意しといてくらないか?」
「分かりました。」
私と未来さんは倉庫に向かった。
未来さんは一人だけ走っていくと輝のバットだけを取り出した。
「私が渡すから。」
私は別に誰に渡そうが関係ないし、さっきの輝の顔を思い出した。するとなんだか一気に怒りに変わった。
「渡せば。さっきの腕組、輝全然嬉しそうじゃなかったよ。」
すると未来さんは涙目になりその場にしゃがみこんだ。
「うっ・・・ヒック・・・」
すると鳴き声が聞こえた西村先輩は私たちのところに駆けつけた。
「どうした?」
西村先輩がよってくるとみんながよってきた。
しかも酷い目で。
「うっ・・・舞恋が・・・輝の・・・バットで・・・ヒック、・・・殴ろうとしてきて・・・」
え?なんでそうなるわけ。もしかして未来さん嘘泣き?
すると一人の部員が、
「確かに、輝のバットだけが転がっているぞ。」
そう言うとみんなが私を睨みつけた。
「違います。私、してなんか。・・・」
輝を見ると輝は悲しそうな顔をしていた。
違う、違う、みんな信じてよ。
「舞恋。」
そういったのは輝だった。
「俺はお前がやったって思ってないよ。」
その言葉に野球部員がざわめきだした。
「輝、証拠だってあるんだぞ、なのに・・・「俺は舞恋がやってないってわかる。」
「輝・・・」
輝が私に近づいてきて頭に軽く手を載せてくれた。
「さっき倉庫のドアの隙間から見えたんだ。俺のバットをとったのは吉竹だ。」
すると未来さんはさっきまで泣いていたのは嘘かのように泣き止んでいた。
「違うわ。私は舞恋にやられそうになったのよ。」
「俺がこの目で見たんだ。吉竹、お前に嘘をつく権利はない。」
「っ・・・」
何も言えなくなった未来さんはどっか行ってしまった。