まだ好きです(完)
「交通事故。飛び出しだって。」


ええ。私は放課後、部活の道具を持って、あわただしく移動している生徒達に紛れて、廊下を通っていた。今日は非常に蒸し暑い。何もしていなくても、汗が出てくる。女子トイレでは、決まりのように皆、日焼け止めを1つ使い切るような勢いで塗っていた。


「瀬羅ちゃんが、飛び出したの?」

「うん。」


なんで、瀬羅ちゃんと一緒に駿はいなかったんだろう。いつもは、瀬羅ちゃんと駿は一緒に登下校しているのに、事故にあった時は駿は一緒に帰ってなかった。



「瀬羅ちゃん、大丈夫なの?」

「わかんない。今、病院に行ってるらしいよ。」


『キーンコーンカーンコーン』


「あ。放送だ。」

『今日、私達の学校の仲間が交通事故にあった。皆も、事故にあわないとは限らない。というわけで今日は部活動中止で、帰ってもらう。帰るときも安全確認をし、しっかり言えまで帰ること。』


校長先生のハスキーボイスが学校中に響き渡った。


「事故?」

「誰だよ?事故なんておこしたの?」

「あ。さっき警察みてーな学校に来てたぜ?」


さっきの放送がなり終わってからは、みんな「事故」の話題しか出てこないようだった。


ふと、頭の中で考えた。



駿は大丈夫だろうか?






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