まだ好きです(完)
「瀬羅、りんご食う?」


売店の売り物は高い。スーパーよりも5円は高いと思う。俺はそんな病院の売店から、りんごを買ってきた。りんごの皮むきは比較的得意なほうだった。


「うん。食べる。」

瀬羅は、まだ病室のベットに寝たままだった。足には、ギブスをしている。ぶつかった車に乗っていた人も心配して、見舞いに来てくれた。50歳くらいの男の人だった。

ガタガタガタ……

「なんか…さわがしくない?駿??」

「なんかこっちに走ってくる音っぽな。」

病院だぞ…?誰だ?

ばん!!!!!!!!!



「瀬羅ちゃん!!!!大丈夫????」



汗びっしょりで、はあはあ、息を切らして、女のかけらもないような…

「雛!!!!!」


「雛…ちゃん…」


瀬羅の表情が…いっきに曇った。むすっとして雛をみている。


「あの…これお見舞い!!足、大丈夫だった?無理しないでね!」


雛はそういうと大きなひまわりを瀬羅ちゃんにわたした。


「でっか。どっからこのひまわり、つんできた?」


「なんか、うちの家に一本大きいのあったから…」


「いいのかよ!!!!」

雛は一生懸命になると、何するかわかんねーな。


昔から…そうだったのかな?


俺が、記憶をなくすまえも、こうやって…


あ…やべ。また頭痛…


「駿??駿?顔色悪いよ?」

雛…大丈夫だから…だいじょう・・・・ぶ


「瀬羅ちゃん!ごめん、駿借りる!!!!」



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