まだ好きです(完)
…………………ここは?



涼しい。優しい風が、俺の髪をなびかせる。


「あ。駿、起きた。」

雛………

「わり。俺、倒れそうになってた?」


「うん。なんか、顔色悪くなってふらぁ~って!!」


「そっか。なんか、昔のこと思い出そうとすると、こうなるんだよ。」


「え。そんな。」

「俺…さ。」



「うん。」



「瀬羅のそばにいてやりてーんだ。」



カラスの声はうるさかった。病院の屋上から眺める景色はやっぱり、賑やかだ。車どおりも多い。


「うん。」


「昨日、一回瀬羅の手を放そうとした。もう一緒にはいられないって。ずっと一緒にはいられないって。そしたら、事故にあってさ。」

本当はあのとき…………告白するつもりだった…なんていえない。


「うん。」


「瀬羅は、俺が傍にいないと、何仕出かすかわかんねぇ。だから、瀬羅の傍にいてやるんだ。」


「…。」




ん?



「雛??」

俺は雛の顔を覗き込もうとした。でも、雛は、顔を隠す。それは、雛の腕を振り解いた。





「な……何泣いてんだよ。」



「ご…ごめん。なんか私だけ、浮かれてた。」


雛はそういって、あふれる涙を拭いた。でも、まだ涙は止まってない。


「いつか、また駿と二人だけで、過ごしたり、一緒に帰ったり、馬鹿さわぎして、笑いあったり、そういうことができる日は絶対来るって信じてたのに。駿は瀬羅ちゃんの傍に痛いって言われて、もう…もうこんなに駿の事好きなのに。」







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