まだ好きです(完)
雛…そんなに泣いてんじゃねーよ。


おまえの泣き顔…見たくない。目を閉じたくなる。


「駿…瀬羅ちゃんの傍にいてやってほしい。私は大丈夫。駿は瀬羅ちゃんを守るんだよ?」

「は…。何言ってんだよ?雛は俺が瀬羅と一緒にいるのがいやだって言ってたじゃんか?」


「もう…もういいの!!瀬羅ちゃんは駿を必要としてる。だから…私は我慢するしかないじゃん!!!!!」


全然…大丈夫じゃないっての。何泣いてんだよ。何苦しそうな顔してんだよ。こんなに…こんなに…無理して笑ってんじゃねーよ!!!!!!



雛…雛…。


「瀬羅ちゃんを守れなかったら…ぶっ飛ばす!!!!!!!」



そういって雛は小さな拳を俺の顔の前に持ってきた。白くて、小さな拳だった。


「おう。」


雛は、もう泣いていなかった。いや、涙をこらえていたのかもしれない。


俺等は本当の気持ちを隠し、ただただ…笑顔で振舞うしかなかった。


「……んじゃ。行くね。」

「おう。」


このまま…終わっていいのか…。



ふと、俺の頭の中で誰かが叫んだ。誰だ?俺の心に響く声。また。懐かしい気もちになった。


”雛の事。もう二度と手放さないって決めただろーが!”


誰だよ。…誰だよ。この声。教えてくれよ。


”駿!!!!!!”




頭が…痛い。今まで以上に。頭が割れそうな感じだ。



雛…ガタガタ震えてる。



雛の遠い、後姿。小さな背中はかすかに震えていた。


泣いてんじゃねーか。……ん?

雛の泣き叫ぶ顔……。1つ1つ…思い出していく。

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