まだ好きです(完)
あれから…一週間…は経ったと思う。結局、何の進展もない。俺は、賑やかな昼休みを、窓際の席に寝そべりながら過ごしていた。きゃっきゃと騒ぐ女子たちは、今が人生のうちで、一番幸せだと言っているかのような笑顔をこの学校中に振りまいている。


男子は、あいかわらず「強い」奴と「弱い」奴っていうグループができていて、ちょっとちゃらちゃらしている奴が、ズボンの下がり具合をいちいち気にしていた。髪の毛もワックスで立たせている。髪の毛で隠れてるけど、たぶんピアスを開けている。


俺は、どっちかといえば、チャラチャラした人間だった。目立つのが好きで、人より注目されたいという気持ちが強かった。なんで学校には上下関係があるのだろう。


小学校のときは「みんなで仲良くしましょう。」これが、まるで先生の合言葉のようになっていた。誰とでも仲良くして、みんなが親友だった。しかし、中学に入ってからは、グループができ、目立つ組と、いわゆる…地味なタイプの組とで分かれた。


俺は、「みんなで仲良くしていますか?」…この質問を今では素直に「している」と、答えられないと思う。



いつから俺達はこうやって、ランクづけするようになったんだろう。こんなこと…誰が教えたのだろう。誰が言い始めたんだろう。……なんて考えても、結局俺も、グループ化されてるんだし、改善する方法なんて、考えられない。



俺は、そんな事を考えながら、目を閉じた。俺の席は、窓際の後ろから二番目のかなりいい席だ。昼になると、いつもクリーム色のカーテンの隙間から、温かい日光が俺の机めがけて、ふってくる。日光が突き刺さる…っていうより、振ってくるように、優しい光がくるんだ。



俺は、そんな光に睡魔が襲い掛かり、結局寝てしまう。しかも、一回寝たら、そうとう起きないらしい。俺にはわからないけど…


いつもなら、昼休みになると、教室から出て、友達とわーわー馬鹿さわぎしたり、サッカーしたり、可愛い女探したり…してんだけど、今日は、そんな気になれなかった。



記憶…戻ったから。誰にも言ってない。言おうか言うまいか、迷ってんだ。俺は。もし、瀬羅が俺が記憶戻ったことを知ったら、また何しだすか分からない。でも、だからといって、このまま黙ってていいのか?


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