まだ好きです(完)
「いってきま~~す!」

今日は、新と約束していた「一日デート」の日。私は最近買った、ジーンズ生地のサロペットをはいていった。髪の毛はポニーテールにし、スポーティな自分を出してみた。
今日私は新をふる。新のことは、すっごく好きだけど、私にはもう、好きな人がいる。そう伝えたい。どきどきする、胸の鼓動を必死に抑えて、私は家を出た。今日は、秋晴れの良い天気だ。


「新!!」


私が家を出て、すぐのところにある公園に新はいた。公園のトンネルに大きな体を縮めて、こっちをみている。そして、「よお!」というと、小さなトンネルから、顔を出した。

「えっと……どこ行くの?」


「雛、俺が決めちゃってもいいの?」

新はそういうと、私の手を引っ張った。新……ちょっとまってって!ヒールって走りにくいのよ!!!まあ、男子は分からないだろうけどさ!!!そんな事いう暇もなく、もう、目的地に着いたようで、新は足を止めた。


「ここは……?」

「図書館」


え?図書館?って……ええええええええ????一日デートで図書館って…新は昭和人かぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!


「ぶはっ!!!」

思わず笑ってしまった。新は頭いいだけあって、こういう所を選ぶわけだ。新らしい。頭がいい人って、意外と天然な人が多いって聞いたことがあるけど、本当なのかもしれない。


「あ、俺さ、この本好きなんだよな。」

そういって取り出したのは「未来」という小説だった。表紙は、無数の星の写真で、未来を表現しているようだった。

「へーえ。どんな話?」



私は、未来という題名が、ちょっと気になった。






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