まだ好きです(完)
「未来」という本を見て、懐かしい声が私の頭の中でこだまする。


”駿はさ…十年後何してるのかな~?”


”でもさー。俺等、両思いだし、離れてても、心はつながってんじゃねーの?ね、雛ちゃん”



駿……私は、あの時、駿が言った言葉を信じたかったよ。心はつながってるって、信じたかった。でも、もう信じることもできない。瀬羅ちゃんという存在が、私の気持ちの邪魔をした。


あのときの私達は、全然大人じゃないんだけど、無理に大人ぶって、「青春」という言葉を、簡単に使っていたり、大人が言う難しい言葉を得意げに使ってみたり、そんなもんだ。


あのときのように、キラキラした日々が送ることができたのなら……どんなに幸せだっただろうと…思う。



十年後何しているかなんて、まだ、分からないけど、これだけは、分かる。私と駿は、もう一緒にいる事はない。


悲しいけど……どうする事もできない。私が今から駿に伝える「好き」という言葉も、返事なんかいらない。ただ、伝えられればそれでよかった



”駿はさ…十年後何してるのかな~?”



”こうして、雛の隣にいるだろーな!”

”十年後も???!”

”おう!!!”




もう、駿あのときの予想ははずれてるよ。”こうして、雛の隣にいるだろーな!”って言った駿の言葉、すっごく嬉しかったんだよ。駿がそう思ってくれたのなら、私も大丈夫だって、一人で安心してた。今、駿にあのときと同じように”駿はさ…十年後何してるのかな~?”って聞いたら、駿はなんて、言うのだろう。



昔みたいに、私の隣にいるだろうって、言ってくれるのかな?


無邪気に笑って、自慢げに笑うのかな?

















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