まだ好きです(完)
「パーン!パンパンパン!!」

勢いよく、透き通るような快晴の空に花火が上がった。俺等は国旗掲揚代を眺めながら、その音を背後で聞いていた。今日は運動会当日。今まで準備していたものが、運動会の雰囲気をよりいっそう高めている。団長先輩は、ワックスで髪の毛を固めて、いかにも気合をいれてきた、という感じだ。

赤軍の看板は虎。青軍の看板は竜。白軍の看板はチーターだ。どれも、背景には自分の軍の色が使われていた。優勝の得点にも、看板賞というのがふくまれているから、看板係も責任重大って訳だ。

校舎のベランダからは、「闘志を燃やせ!!」と書かれた、スローガンがひらひらと、風に吹かれて、空を泳いでいるようだった。保護者の人たちも、ぞろぞろと集まってきて、自分の子供にシャッターを向ける親や、仲が良い親同士で世間話をする親や、子供づれできている親など、いろんな人が集まってきている。でも、みんな楽しみな顔をしていることは、みんな共通している。



「それでは、エール交換をする。まずは、赤軍は青軍にエールをおくって下さい。」

放送部の部長らしき人が、はきはきした口調で、そういった。俺たちは「はい!」と勢い良い返事をすると、すぐ立ち上がった。おれは鉢巻を強く結びなおして、気合を入れた。

団長先輩の太い声にあわせて、みんなは声をだす。一人一人から気合が感じられて、一つになれそうな気がした。

「青軍!!頑張ってください!」

団長先輩はそういうと、深く礼をして、腰を下ろしてとみんなに指示をした。

他校の女子が団長先輩の事を、きゃーきゃーいってる声が聞こえた。やっぱもてんなー。先輩は。他校の奴らが来て、そこから恋が始まるっていうジンクスがあるらしいけど………。


俺は、汗でぬれた前髪を整えた。そして、応援団だけする軍手をはめた。ポンポンももって、応援を始めた。



「よし!今日が本番だ!今まで練習してきた成果をみんなは、発揮してくれ!!がむしゃらに、つっぱしれーーーーー!!!」


団長先輩はそういうと、にっこり笑って、頑張るぞー!と拳を上に上げた。みんなは「おーー!」といい、先輩と同じように、拳を上に上げた。



ぜってー、勝つ。先輩のためにも、みんなのためにも、嬉し涙流したい。俺はふと、雛を見た。雛、もう汗かいてるし、頑張ってんなあー。


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