まだ好きです(完)
「…な、……雛」

はっ……!ここは……。どこ…?目が覚めた時には私は保健室にいた。そして…隣には駿がいた。ずっと…私の看病してくれたのかな……?私、優勝して、嬉しくて、嬉しくて倒れちゃったんだ。


「ごめん!駿!私……。」


こんなに髪の毛ぐちゃぐちゃで寝顔も駿に見られてたって事?うう…。恥ずかしすぎる


「雛、倒れるなんて、どんだけ興奮してんだよ…心配したんだからな」


心配……?してくれたの?


「……駿、ありがとう」


「………雛?」


さあー……っとカーテンがゆれる


「……好きだよ」






「え?」



「記憶をなくしてからも、記憶が戻ってからも、なんか足りなかった。雛、おまえがいないとダメだわ。俺」



「……う……そ」

気がつけば私は目が腫れるくらい泣いていた

だって……だって……


「瀬羅ちゃん……は?」


「あー。瀬羅は、もう大丈夫。あいつは、一人で生きていける」


今日は夢みたいな事があいつぐよ


私のこぼれ落ちる涙を彼はそっと大きな手でふいてくれた


だれもいない保健室二人は互いに見つめ合った。


白いカーテンからチラチラ見える太陽が二人の姿を明るく照らした。駿の温かい手が私の頬をさする。私はゆっくりと目を閉じた


だんだんと近づいてくる唇が、私の心を癒やしてくれた。もえ離さない。何があっても。


駿は震える唇でそう言った。


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