まだ好きです(完)
こんな思い出もある。


「駿って…夢ある?」

ふと…私は帰り道そんなことをきいてみた。


「うん。ある。」

「え!何なに~~?」

無邪気だったこの頃は、つないでいる手をぶらんぶらんをふりながら、まるで、小学生にもどったかのようにして帰っていた。


「俺の夢はね、雛とずーっと一緒にいる事!」

「えええ!その意味わかってんの?」

「もっちろん。」

駿はそういって、Vサインを送った。

「夢って…叶わないから、夢なんだって。」

「へー。んじゃあ。俺等でその「叶わない」っていう歴史、かえてこーぜ。」


「はいいいいいいいいい??」

「俺等が、夢は叶うって事、大人になったら、小さな子供に教えんの。」


「んじゃあ。ずっと一緒にいないと駄目じゃん!」

「ま。そーいうことだね。」


私は、そんな前向きな彼が好きだった。


ずっと離したくなかったこのつないだ手は、いつしか、離れるときが来る。


そう。私たちのように。




「雛。夢は、かなえようって頑張るから、叶うんじゃねーの?」


私が駿といつもの分かれ道で、別れたとき、ふと、駿がこんなことを言ってきた。


「…そうかも。」


「だよなーーー!」


そういうと、駿は嬉しそうに、帰ってく。


私はだんだん小さくなっていく、彼の影に、そっとキスをした。




こんな幸せな日々は長くはつづかなかった

この日の数ヶ月後、私たちは別れた。


今思えばかなり馬鹿らしい事で別れたんだよね。
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