まだ好きです(完)
「ぶはっ!!雛、演歌歌ってくれんの?すっげー!」

駿!これは……間違いだあああああ!!!私は、赤くなった顔を、必死にかくして、リズムが全くわからない、演歌を聴いていた。



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帰り道。私達は夕日に向かって、つないだ手を大きく上げた。ここら辺には,大きな海があって、その水面に映った夕日が、とっても綺麗なんだ。

「駿はさ…十年後何してるのかな~?」

私は、ふいにそのようなことを口に出した。駿は、つないだ手をさらにぎゅーっと握り締めた。

「こうして、雛の隣にいるだろーな!」

「十年後も???!」

「おう!!!」


彼はそういって、笑顔を見せた。まるで、未来を分かりきったかのように、自慢げな顔で。

「十年後、私達同じ景色をみてないかもしれないよ?」

「でもさー。俺等、両思いだし、離れてても、心はつながってんじゃねーの?ね、雛ちゃん」

「ほんっと、駿は前向きだな」

「だろー?」


駿の手はいっつも温かかった。それは、駿の性格を現してるのだと思った。

「私……十年後、駿と一緒にいるって約束する。」

「おお。んじゃあ、何があっても、俺に会いに来い!」

「駿も、私に会いに来いよー!」


そういって、指切りをした。



夕焼けに染まる彼の顔を、ずっと眺めていたかった。



つながれた、右手はとっても切なくて、この手が永遠にはなれませんように、って願った。彼のYシャツから香る、甘い香りも、駿の爆笑するするポイントも、駿のクセも、何もかも………分かってしまったから、手放すのはすっごく、辛いことなのかもしれないんだ。



二度目はない。もう駿と離れたくない。私はそう硬く思った。



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