大好きな人。【完】
――――……。
「桜君……まだかな」
さっきまでの歓声が嘘かのように静まり返った体育館。
私はメールの通り、玄関で桜君を待っていた。
真紀ちゃんは
『邪魔になるから』
と言いながら山本君を連れて帰って行った。
邪魔って何の邪魔になるの……?
『……わりっ、遅れた』
なにに時間がかかったかはわからないけど
ユニフォームからジャージに着替えた桜君が現れた。
「だっ、大丈夫だよ?」
二人きりで話すのは初めてで……
心臓が破裂するんじゃないかってくらい緊張している私。
『……まぁ、とりあえず帰るか。』
「う、うん?そーだね…」