ナンパ男との恋 社会人編
・・・何もない。
怪しいものなんて
何もなかった。
服、小物、雑誌・・・
必要最低限の物しか入っていないバッグ・・・
安心したと同時に、
どうして私は こんな事をしてしまったんだろう。輝樹の事 信じてない証拠じゃん・・・
罪悪感で
自分自身が潰されそうになる。
そんな気持ちのまま
仕事に向かい
集中できるはずもなく
「小田さん、張り紙・・」
「え?・・・・」
「院長不在の。」
朝9時過ぎ、
診療が始まったと同時に
去川さんが
みんなに聞こえないように
背後から 私の耳元で
囁く。
「・・・!
す、すいません。」
「いや、今
書いてくれたら
ちょっと 外行く用事あるし
貼ってくるから」
大急ぎで 紙に書くと
去川さんが
その紙を手に
外へと行った。
・・・やってしまった。
わざわざ電話で
伝言伝えてくれたのに
完全に ダメじゃん。
何もかも ダメじゃん・・・