ナンパ男との恋 社会人編
*いない夜
「絶対 鍵して寝ろよ?
つーか、戸締りちゃんとして
出かけろよ。」

「うん、分かってる」

「1人だからって
何も食わずに寝るとかすんなよ?」

「うん」

「帰り 変な奴いたら
走って逃げろよ」

「うん」


金曜日の朝。

昼から出発する輝樹は

「昼までする事ねぇから
職場まで送っていく」

と、急に言い始め

職場に着き
車を降りようとする私の腕を掴み
真剣に 注意事項を
言い聞かせている。


「ほんと大丈夫かよ・・・」

「大丈夫だよ。
ちゃんと 帰ってきてね?」

「当たり前だろうが」

輝樹の場合
いきなり 帰ってこないという事が 過去に数回あるから
当たり前とは言えないんだけど・・・


「電話すっから」

「うん・・」

そんな事を言われてると
何だか 寂しくて
潤んでしまいそうになる。

「・・じゃあ、
輝樹も 気をつけてね。
いってきます」

必死で笑顔を作り
車を降りると
手を振って 
輝樹の車を見送った。

・・・帰ったら もういないんだ。

そう考えると

寂しくて
どうしようもない気持ちに潰されそうになる。
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