平穏な愛の落ち着く場所


『ふざけんなー』


蒼真さんが悔しそうに顔を歪めて、夏音さんに泣きついた。

『仕方ないわよ、女は狼に弱いんだもの
 ねえ?』

『えっと…その……』


あんぐりしていた私は、夏音さんに向けられた笑顔にドギマギしてしまう。


『ふふっ、おかしいでしょう?
 加嶋さんはいつもつれないのに、
 この娘も藤木さんちの咲希(さき)ちゃん  も、加嶋さんが大好きなのよ。
 だからね、すぐに言うこと聞くの』

ライバル多いわねって夏音さんがまた笑う


ライバル??


藤木さんちのさきちゃんはわからないけど
確かに、紗綾もすぐに懐いてしまった。


なんだろう……

崇さんには大人には見えない、子供に
好かれるオーラとか、二十歳を過ぎると
聴こえなくなってくる音みたいな何か
特別なものが出ているのかしら?

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