平穏な愛の落ち着く場所
『そうだ!遊園地なら千葉にいるネズミの
スーパースターに会いに行こう!』
蒼真さんが並ぶのが大嫌いな彼を困らせる為に言ったのは明らかだ。
『観覧車はあるのか?和奏は観覧車に乗りた
いんだよな?高いたかーい所で下を見て
みたいって言ってたよな?』
『なっ』
『おとーしゃま、ないちゃだめよー』
わかなちゃんがよしよしって絶句している
蒼真さんの頭を撫でる。
目の前の他人が見たら何気ない平穏な日常の一コマが、千紗には柔らかくて温かくて、眩しいくらいに輝いて見える
すると、紗綾が本人は小声のつもりで崇さんの耳元に口を近づけた。
『わかなちゃんのパパたかいのきらいなの?
こうすけといっしょ?』
泣き笑いをこらえていた千紗は、次の瞬間
ハッと息を飲んだ。
彼が見たこともない優しい笑顔で
紗綾の口元に人指し指をあてたのだ。
『こうすけよりひどい』
『えーー』
クスクスと笑いあう二人
千紗は溢れ出す感情を押さえきれなくなって、その場に崩れた。