平穏な愛の落ち着く場所

結城家のお重箱に詰められた、
恐ろしく豪華な御弁当をいただき、時間は
普段ならばお昼寝の時間になっていた。

病み上がりの疲労を感じはじめていた私も、ここでお開きになると助かるなぁと思っていたんだけれど……


『和奏、眠くないの?』

少し困ったように夏音さんが蒼真さんを見た

園に入ってすぐ、パンダには30分近くいたと言うのに、和奏ちゃんはまたパンダが見たいと言っている。


『ねむくない、ぱんださんみたいの』

お嬢様の我が儘というには、和奏ちゃんは可愛い過ぎる。

よほどパンダが好きみたいだ。


『わたしもみたいな』


紗綾が控えめに言った。

和奏ちゃんを思っての発言だ!

小さな成長を感じて嬉しくなって、疲労なんて吹き飛んだ。


『いいわよ、行きましょう』

立ち上がろうとすると、
崇さんに肩を押されて椅子に戻された。


『おまえはここで休んでろ』

大丈夫だからって言う前に
《私も疲れたから残るわ》と夏音さんが
蒼真さんに言ってしまったので、それならと
気遣いをありがたく頂くことにした。



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