平穏な愛の落ち着く場所



『入って』

千紗は内心の恥ずかしさを隠して、
崇を促した。

入ってすぐがキッチンとダイニング。
その奥が寝室になっている。

お風呂上がりで髪はまだ濡れているし、
頂いた時はオーガニックコットンのふわふわだったバスローブは、何度も洗濯するうちに丈が縮んで膝上になっている。

もちろん素っぴんだ!

流しには夕食の食器や鍋がそのままだし、
いくら物がなくてすっきりしているとは言っても小さな子供のいる家だし、
そもそも人が来ることを前提にしていない狭い我が家はどこも雑然としていた。

まったく……

『サイコー』

呟いて千紗は泣きたい気分になった。


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