平穏な愛の落ち着く場所
『これで俺の方が多く言ったな』
『今のところはね、勝たせておいてあげる』
『いつから勝負になったんだよ』
崇は微笑んで彼女の腰に腕を回した
『なあ、ここに越してこないか?』
『えっ?』
『言葉に気をつけろよ、同情とか援助とか
そんなんじゃないのはわかっているよな』
『親切でもないわよね』
千紗は俺の肩におでこを乗せて微笑んだ
『わかってて言ってるな?』
『あら、使う時を教えてあげてるのよ』
クスクス笑う唇に一度強く口づけて
警告の眼差しを向けるが、
今回ばかりは彼女の方が上手だった。
『俺が怒鳴る時どうするかは言ったよな?』
『そうね、聞いた気がするかも?
でも本当はどうなるのかやってみて』
崇は笑い声をあげて千紗を抱き上げると
顔を下げて、彼女の唇を軽く噛んだ
『愛してる、
だから俺とここに住んでくれ』
『私も愛してる、
だから紗綾とここに引っ越すわ』
もう不安になることは何もない
千紗は歩き出した彼の首に腕を回しながら
心の底から沸き上がる愛しさと、
これから向かうベッドで起こることを思って
身を震わせた。