平穏な愛の落ち着く場所


まるで映画のヒーローの登場シーンの様に
颯爽とその人は現れた。

『ベイビー、こんな所に呼び出すなんて、
 人をコキ使うにも程があるだろ!』

『誰がベイビーだよっ!』

背が高くスラッとした身体には、間違いなくオーダーのブランドスーツを纏っている。

それが嫌味でもあからさまでもなく、ファッションモデルのようにゴージャスで、千紗は声に出さずに《ワォ》と言った。

色素の薄い茶色の髪やビー玉のような瞳は
飛びきりハンサムな外国人なのに、
口から出たのは流暢な日本語で、
そのキラキラしたオーラに、惹き付けられない人はいないと、千紗は思った。

『あっ!君が噂の千紗ちゃんだね』

『えっ?!』

崇がサッと千紗を背中に隠した。

『仕事をしろっ!』

『はいはい、怖い狼さん』

『その呼び方もやめろって言ってるだろ!
 つか、俺に触るな!』


あれれ?もしかして?

千紗は何となくだけど、わかってしまった。

うわーっ!神様ってなんて残酷なの!

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