平穏な愛の落ち着く場所
『あっ、止めて!!』
『なにっ?!』
崇は急ブレーキを踏んだ。
キーっとアスファルトを鳴らして車が急停車する。
幸い平日のこの時間は、車社会の田舎だと言っても対向車は数台が通り過ぎるだけでバックミラーで見ると、後続車は遥か後ろにいた。
『どうした?!』
ハザードを付けて車を路肩に寄せる。
『さっきのお寿司やさん!』
『寿司屋?』
点在する外灯に瞳を凝らして見ると、管理事務所と書いてある立看板の並びに、コンビニのようなスーパーとラーメン屋に並んで比較的新しい建物の寿司屋があった。
『あの人の車があった!間違いないわ、
ナンバーも品川だった』
『わかった』
崇は車をUターンさせた。
少し戻ると、地元の漁港から仕入れていると謳ったまだ新しい看板の寿司屋があり、砂利の駐車場には、確かに品川ナンバーの車が止まっている。
仕切りがなかったので、崇は空いている
スペースに車を入れた。
千紗は逸る気持ちを押さえきれず、崇がエンジンを切る前にシートベルトを外すと外へ飛び出した。
『おいっ!待て!』
崇は慌ててエンジンを止めて追いかけた。