平穏な愛の落ち着く場所
部屋を出ると、キッチンから心地よいソプラノの鼻歌が聞こえてくる。
これもまた当たり前になった
俺の生活音の一部だ。
キッチンを覗けば、千紗が微笑みながら何かをかき混ぜていた。
内に溢れる想いが身体に染み渡るのを
ゆっくり感じながら、彼女を見つめた。
いまこの時を幸せと言わずして
何を幸せだと言えようか
『なに?』
視線を感じた千紗が振り返った。
それだけで、口元が自然と綻ぶ。
『千紗、俺を愛してると言ってくれ』
『もちろん、愛しているわ』
『完璧だ』
ここにあるものがすべて
俺に欠かせないもの
大事な家族だ