平穏な愛の落ち着く場所
崇もコーヒーを飲み干すと、立ち上がった。
これからは、わざわざ外に行くことはないと
気に入るほど社食には満足した。
来た道を戻りながら、何気なく人の集まって
いる所に目を向けた。
エレベーターに向かっていた足が
ピタリと止まった。
崇は信じられないものを見た時のように
二度瞬きをした。
間違いない、これは現実だ。
そう自覚した途端に、腹が立った。
こんな所で何をしている!!
あの格好はなんだ?!
足がひとりでに動き出し、気づいたら
彼女の腕を掴んでいた。
『えっ?』
『来るんだ』
『ちょっ、ちょっと!?』
驚く彼女とそのまわりを無視して、
引きずるように彼女を社食から連れ出した。