平穏な愛の落ち着く場所
『その格好はなんだ?』
『これは、私、栄養士の資格があって…』
おずおずと答える彼女に苛立ちを感じる
『いつからだ?……いや、待て。
一年前だな……冴子か?』
彼女はこくこくとうなずいた。
何なんだよ!
いったい、さっきから何を怯えている?
まさか、本気で俺がクビにするとでも
思っているのか?!
『なぜ先日言わなかった?』
『そ、それはあの……』
『くそっ…千紗!』
『は、はい』
『その態度はやめろ!』
『えっ』
『生まれたての小鹿みたい震えて
怯えるんじゃない!
俺が本気で脅してるんじゃないのは
わかるだろう!』
千紗はハッとした。
そうよ、私は何も悪いことはしていない。
この一年、仕事は一生懸命やって来た。
責められる事は、何もない!
この人はかつては恋人だった、
でも今は勤める会社の上司なのよ、
それも専務。
目が覚めたように、気持ちが切り替わった。