平穏な愛の落ち着く場所
その一ヶ月後だった。
彼女が笑顔で俺に結婚すると告げたのは。
ちくしょう!
あの時、どうして彼女をもっと
問い詰めなかったんだ……
違う。
崇は乾いた笑いをした。
本当は気づいていたじゃないか
彼女が何を望んでいたか……
あの時も今も、拘束されるのは嫌いだし
身軽な生活が気に入っている。
誰かに縛り付けられる気はない。
父親のように、誓いの言葉をいくつも
知ってはいないし、永遠の愛が終わりを
迎えてすぐに、新しく生まれるのを
自分がするかもしれないと思うと
ぞっとする。
なにしろ俺は母が嫌そうに認める、
あの人そっくりの人間なのだから。
親友達は違うかもしれないが、
自分が、家庭向きではないのも
よくわかっている。
子供の扱いすら苦手だ。