平穏な愛の落ち着く場所
9.
胸を打つ鼓動が全身に響き、身体全体で
ドキドキしている。
大変な事をしてしまった恐ろしさと
怯えて萎縮してしまう自分に勝てた喜びが
千紗の中で同時にひしめき合っている。
彼の言葉…《怯えるんじゃない!》が
いつも私が逃げ込む殻を破ってくれた。
やれば出来るじゃない!
千紗、あなたはもう威圧的な言い方に
馬鹿みたいに頷くしかできない
妻ではないのよ!
『ふふっ……ははは……あははは』
込み上げてくる涙はそのままに
思いきり笑った。
他人が見たら頭がおかしくなったと
思うだろうが、かまわない。
私はきちんと立ち向かうことができると
証明できたのだから。