平穏な愛の落ち着く場所


『ママーあーちゃんきたよ!』

あーちゃんこと愛ちゃんとの出会いは、
神様の気まぐれだとしても感謝せずには
いられない。

『やだあんた!まだそんな事してるの?
 遅刻するわよ!』

いつもの様に、朝はがらがら声の愛ちゃんが
ずかずかとやってきた。

こうして、時々娘を快くあずかってくれる
信頼できるお隣さんなんて、このご時世
滅多にいないわ。

三年前、結婚するときに母がくれた
貯金通帳と独身時代の宝石をもって
右も左もわからないまま、
紗彩と二人世間に飛び出した。

親友の助けがなかったら、
仕事も住む家も見つけられなかった、
世間知らずな私。

子どもを抱えて、働く事の厳しさを
救ってくれたのは、アパートの隣に住む
愛ちゃんこと、本名 吉井賢さんだった。


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