平穏な愛の落ち着く場所
『崇、千紗の様子がおかしいのよ』
『おかしい?』
『どうやら土・日も働きだしたみたいなの』
『あいつは死にたいのか!!』
『このままじゃ、紗綾ちゃんが可哀想で
見ていられないわ。崇、あなたの覚悟は
この際一端おいて、彼女を私達で
どうにかしないと……』
『わかった、俺に考えがある』
崇は荒々しく受話器を置いた。
彼女は頭がイカれたのか?!
いや、あいつはとうにおかしくなって
いたではないか!
あんなに痩せ細るまでギリギリの生活を
しているのに、更に仕事をしているだと?!
頭がおかしくないはずがない!!
崇は受話器をあげた。
和田とて気づいているはずだ。
案の定、受話器の向こうからは
彼女を心配し、最後には俺にどうにかしろと
怒りをぶつけてきた。
崇は順調な計画の滑り出しに、
ようやく怒りの波が治まりつつあった。