平穏な愛の落ち着く場所
面白がっている場合ではない。
大好きな二人が、お似合いの二人が
動き始めようとしている。
冴子は早足に自分のオフィスに入ると、
夫にきつく抱きついた。
『今度こそ、上手くいくわよね?』
『君に過剰な期待をさせたくないが、
今回は賭けるまでもないな』
『そう思う?』
『崇のあの顔を見ただろう?』
自分の計画の変更を嫌う崇が、
変更を取るに足らないと言い笑っていた。
あの狼の笑みには、所有欲と保護欲が
すでに発せられている。
『冴子、キューピッドは終りだ』
『もしまた千紗が傷付いたら……』
『しぃっ、
ここから先は女神のみぞ知るだ』
浩輔は愛しい妻の不安を抑えるように
唇を重ねた。