平穏な愛の落ち着く場所
千紗は一通りの掃除を終えて、ソファーに
座ると、窓の外で青空にはためく洗濯物を
眺めていた。
シーツやタオルが気持ち良さそうに風に
揺れている。
静かな一時に、頭の中を空っぽにして
澄みきった青空を見上げる。
考えなければいけない事は山のようにあって
決断を迫られているものもある。
ー残念ですが、勝ち目はなさそうですね
もちろん、養育費については最大限戦わせ ていただきます。
あの痩せた眼鏡の弁護士さんは、意地悪で
言ったんじゃないってわかっている……
熱くなる瞳をグッと堪えた。
私の人生はどこで狂ってしまったの?
馬鹿ね、わかっているじゃない。
ーおまえは嫁に行くしかないだろう?
そう言う、父の決めた相手に反抗はできなかったんだから、あの時点で自分に負けた
のよ。
それに自分の気持ちを押し通すだけの
勇気も、もらえなかった……
彼と別れたあの日のことは今でも忘れられ
ない……