B - Half
・2・
実家に帰ってきた理由は、ふたつある。
ひとつは単純に、穂波が出入り自由のマンションにいたくなかったから。
自分のなかで、穂波の立ち位置は完璧にグレーゾーンだ。
彼女をどうすればいいのか、なにも知らないままでは決められない。
そのために――もうひとつ。
「しより」
「なに?」
「【Augasta】ってカフェ、知ってるか?
西口の、MORESの脇から飲み屋街抜けて、かなり奥に入ったところにある、ちっちぇえ店」
ジーンズのポケットから、くしゃくしゃになったショップカードを引きずり出す。
両手を腰に当てたしよりが、手元をのぞき込んできた。
ひとつは単純に、穂波が出入り自由のマンションにいたくなかったから。
自分のなかで、穂波の立ち位置は完璧にグレーゾーンだ。
彼女をどうすればいいのか、なにも知らないままでは決められない。
そのために――もうひとつ。
「しより」
「なに?」
「【Augasta】ってカフェ、知ってるか?
西口の、MORESの脇から飲み屋街抜けて、かなり奥に入ったところにある、ちっちぇえ店」
ジーンズのポケットから、くしゃくしゃになったショップカードを引きずり出す。
両手を腰に当てたしよりが、手元をのぞき込んできた。