B - Half
「怒っているんですね、コウヤくん。

 あたしが……黙っていたこと」

「怒ってなんかいない」

 改めて差し出された紙袋を受け取って、呟く。

 ――怒るとか、怒らないとか、そういう問題じゃないんだ、多分。

 ただ、ひどく落胆している。

 なにも知らずに感情を選んで、いまこうしている自分に。

 馨也がいなくても、『馨也のもの』を選んだ、自分に。
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