B - Half

「俺、センセイといろんな奴の話をできるほど、親しいつもりないんですけど」

　張り付いたシャツを引っ張って、できるだけ淡々と云う。

　『変に絡んでくる奴になんて、いちいち付き合っていられるか』と、口のなかで唱えた。

「確かにな」　

　くわえタバコのまま、辻がくぐもった笑い声をもらす。

　節張って、どこかくすんだ辻の指が、タバコをつまんだ。

　細く、煙を吐き出す。

「知ってたよ」

「ミキさんも、マスターも、あのナマイキな弟も」

「やっぱり海樹に噛み付かれたか」

　タバコを前歯で噛み潰して、辻が苦笑した。