B - Half
「どっちでもいいです。なんでも。

 俺と、あいつはもう無関係だから」

 云い捨てて、いつの間にか握り締めていたタオルを、はなした。

 汚い床に、薄い水色のタオルがふんわり着地する。

「タオル、ありがとうございました」

 拾い上げて、辻の白衣の胸元に押しつける。

 とっとと背中を向けたところで、待ったが入った。

「菅坂香也。穂波に惚れたか?」

「関係、ないです」

 自分のぐちゃぐちゃな感情をむりやり型に詰め込むみたいに、繰り返す。

 ――そう、全部関係ない。意味なんかない、もう。

「俺は、あいつなんて知らない」
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