B - Half
「あたしは、うまくモノを説明する才能、ないんです。

 だから、思い付いた順番に、話、します。

 少しずつ、でも、いくらだって」

 そんな風に、穂波は話し始めた。

 熱でぼやけたアタマに、やわらかい声がゆるく、響く。

「まず、ごめんなさい。

 あたしは、高校に入る前から、あなたのことを知っていました。

 あなたのこと、見ていました。ずっと」

 神妙な顔で、穂波は云う。

 ――馨也と同じ顔の俺を、だろ?

 言葉にせずに、突っ込む。

 言葉にすると卑屈すぎる。でも、本当のことだからなお、情けない。
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