B - Half
「う~んと、一昨年。

 キョウヤくん、予備校に通っていたでしょう。

 駅の三大予備校のひとつ。

 あの別館とうちのお店って、結構近いんですよね。

 駅と逆走になるから、みんな気付かないけど」

「で、店に来た、と」

「ええ。いいお得意さまでしたよ、キョウヤくんは」

「なるほどね……」

 軽く、うなずく。

 確かに、あいつは――というよりも俺たち三人は、高校受験のとき、予備校に行っていた。

 三人別々の授業を受けて、家に帰ってから教え合う。

 『ケチくせえ』なんて笑い合いながら、それでもにわか教師は結構楽しかった。
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