B - Half
「落ち着けば?」

 わざとらしく、ひんやりささやいて、俺は手近なパイプ椅子に腰を下ろす。

 ぱちぱち、まばたきを繰り返して、穂波はようやく状況を飲み込めたらしい。

「……あたし、数学科の吾妻せんせに、呼び出し、くらったみたいなんですけど……?」

「ああそれ、ウソ」

「やっぱり……」

 ほっとした顔で、穂波が床に崩れ落ちる。

 ここの床は、地学準備室と張るくらい汚いけど、いいのか?

 ちらりと考えたけど、放っておいた。
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