B - Half
「期限は?」

 ゆっくりと顔をあげた穂波が、不敵に笑う。

 不倒不屈・猪突猛進の穂波の、本領発揮だ。

「無期限なんて、悠長なコト、云いませんよね?」

 きゅっと吊り上がった穂波の唇を見ていたら、死ぬほどゾクゾクした。

 割合起伏のない感情の持ち主たる俺には珍しく、バカみたいにハイな気分。きっといまなら、空くらい飛べる。

 俺はにやにや笑いながら、答えた。

「じゃあ、一年。

 次の夏が来るまでな」

「長すぎるくらい! 上等です」
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