B - Half
「キョウが……いなくなって、コウが離れていって。

 コウに彼女モドキができたって聞いたとき、さびしいけど仕方ないって思った。

 もう、元には戻れないんだから、仕方ないって」

「うん……」

 学校の最寄り駅の近く、本屋さんの前の穴場の珈琲屋さん。

 カフェラテのカップを前に、ゆっくりとうなずきながら、貴子さんは聞いてくれる。

「でも、その娘が……辻穂波が、キョウの彼女だったんだって聞いたとき……」

 ――なにかが、あたしのなかで壊れた。

 割れてしまった破片のなか、あたしですら気付かなかった気持ちが、ひらめいた。

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