B - Half
・2・
ノック代わりの蹴りひとつで、襖が開く。
「キョウ! 風呂、空いた」
ぐしゃぐしゃと濡れた髪をタオルでかきまぜながら、コウが部屋に入ってきた。
畳にうつぶせに寝転がっていた俺は、ぺちぺち、と畳を手のひらで二回連打。
とりあえず『了解』の意を示す。
「おまえ、なんで自分の部屋で転がらねえんだよ。邪魔」
確かに、襖の向こう側は熾烈な兄弟ゲンカの末に勝ち取った洋室だ。
でも、頬に触れる畳の感触も、捨てがたい。
「だって、畳が好きなんだもん」
「じゃあ、部屋替えてやる」
速攻、コウが云ってくるのも、予想済み。
俺はべ~っと、あっかんべをしてやった。
「やだよ。畳にベッド、だせえ」
憎まれ口の返礼は、早業の蹴りと怒鳴り声。
「畳が好きだと云ったろが!」
「ンげッ」
無防備な背中を容赦なく、コウのバカでかい足に踏み付けられた。
「キョウ! 風呂、空いた」
ぐしゃぐしゃと濡れた髪をタオルでかきまぜながら、コウが部屋に入ってきた。
畳にうつぶせに寝転がっていた俺は、ぺちぺち、と畳を手のひらで二回連打。
とりあえず『了解』の意を示す。
「おまえ、なんで自分の部屋で転がらねえんだよ。邪魔」
確かに、襖の向こう側は熾烈な兄弟ゲンカの末に勝ち取った洋室だ。
でも、頬に触れる畳の感触も、捨てがたい。
「だって、畳が好きなんだもん」
「じゃあ、部屋替えてやる」
速攻、コウが云ってくるのも、予想済み。
俺はべ~っと、あっかんべをしてやった。
「やだよ。畳にベッド、だせえ」
憎まれ口の返礼は、早業の蹴りと怒鳴り声。
「畳が好きだと云ったろが!」
「ンげッ」
無防備な背中を容赦なく、コウのバカでかい足に踏み付けられた。