B - Half
「そんなの、決まってます。面白いからですよ」

 しれっと、穂波が云ってのける。

「面白いって、実も蓋もねえなあ……」

 脱力した俺に、穂波がにっこり微笑んだ。

「ずっと話を聞いていたからでしょうか。

 しよりさんやコウヤさんのこと、まるで自分が知ってるみたいな気がします。

 そういう感覚も、変な感じで楽しいです」

 しわのないタブリエをなでてから、穂波はくすぐったそうに口許をほころばせた。
< 202 / 218 >

この作品をシェア

pagetop