B - Half
 しよりが、鮮やかに微笑んだ。

「いいよ、別に。

 キョウがあたしを連れていくなら、あたしは構わない」

 不思議な笑みを浮かべながら、しよりは、魔法をかけるみたいに、俺に語りかける。

 ひたりと、視線が合う。

 錯覚だけど、こんな風に見つめ合ったことなんて、生まれてはじめてだと思った。

「キョウが、一生守ってくれる?

 あたしが哀しいなんて――さみしいなんて感じないように。

 あたしの外側も内側も全部、守ってくれる?」
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