B - Half
「穂波、ちょっと相談」

 つまらなそうに立ち去ろうとする背中を、呼び止めた。

「なんでしょ?」

 ぴょこん、とウサギみたいに穂波が振り返った。

「この店、バイトいらねえか?」

「はい?」

 俺の突然の申し出に、穂波が、目をみはって聞き返してくる。

 『想定外!』と大書きされた、真ん丸い顔。

 小石大の後悔と微かな恥ずかしさが、頭をよぎる。
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