B - Half
 もう片方の手で自分の額と比べながら、穂波がさえずる。

 額の手を押しやって、俺は、コーヒーを一口。

 喉を潤してから、口を開く。

「手近なところから、手を付けようと思って」

 なんにもできない、ちっぽけな俺。

 ちっぽけな俺が喚く、吹けば飛ぶような愛の告白。

 しよりと瞳を合わせて、わかった。

 誰が理由でもない。

 俺がしよりに相手にされないのは、俺が、激安だからだ。
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