B - Half
 誰もいない教室。

 並んだ机。

 斜めからさしこむ、赤みをおびた西日。

 ようやく練習問題にとりかかった穂波のくるくる頭から、視線が窓の外に流れる。

 空を見てしまうのは、くせみたいなものだった。

 近くにある全ては、いなくなった奴を思い出させる。

 広すぎて、遠すぎて手に取れないものなら、ぼんやりと眺めることを許してくれた。

 そうやって、俺はきつい時間をやり過ごしてきたんだと思う。
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