B - Half
・1・
ぴったりと出入口を閉めてしまえば、四角いマンションの部屋は、密封された箱みたいになる。
脆弱な『俺』を守る、鉄とコンクリートの箱だ。
外と内とを遮るのは、分厚いスチールの扉。
その外側に感じるはずのない気配を感じて、俺は顔を上げた。
時計を見れば、三時半。
終礼を終えて学校からここまで、真っ直ぐ歩いてくれば、丁度この時間になる。
引きこもりなるものをはじめてから毎日、頑固なまでに繰り返されるルーティン。
「しより」
想像のなか。
ドアノブにコンビニのビニール袋を引っ掛けて。
ベルも鳴らさず。
ドアも叩かず。
ましてや俺と話をしようなんて頭から完全に追いやって。
強情に肩をいからせて歩いていくしよりの後姿が、見える。
『会うつもりはないわよ』、の意思表示。
脆弱な『俺』を守る、鉄とコンクリートの箱だ。
外と内とを遮るのは、分厚いスチールの扉。
その外側に感じるはずのない気配を感じて、俺は顔を上げた。
時計を見れば、三時半。
終礼を終えて学校からここまで、真っ直ぐ歩いてくれば、丁度この時間になる。
引きこもりなるものをはじめてから毎日、頑固なまでに繰り返されるルーティン。
「しより」
想像のなか。
ドアノブにコンビニのビニール袋を引っ掛けて。
ベルも鳴らさず。
ドアも叩かず。
ましてや俺と話をしようなんて頭から完全に追いやって。
強情に肩をいからせて歩いていくしよりの後姿が、見える。
『会うつもりはないわよ』、の意思表示。