B - Half
「しより、ごめんな」

 ――とりあえず謝るから、帰ってくれないかな。

 そんな気持ちが、喉の奥でしこっている。

 心ココにあらずの俺に、しよりは深い溜め息を吐いた。

「って、云ったって仕方ないことなんだよね。

 あたしだって正直、夏がくるのが、怖い。

 時間が経っていくのが、切ないわ。

 きちんと、あのときからどれくらい経ったのか、カウントできるような区切りがくるのが、怖い。

 普通に息をして生きてるのが、裏切りみたいに思えるのよ。

 あたしたちは、あたしたちのパーツをなくしたみたいなものなのに」
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