B - Half
「うるせえ! 近所迷惑だろが!」

 ここは、ファミリータイプの分譲マンションだ。

 つまり、子育て中の奥様がたがちらほら、昼間でも家にいたり、する。

 穂波の甲高い喚き声は、近所迷惑以外のなにものでもない。

 それに――それ以前に。
 
 もともと、俺はこのマンションでかなり浮いている。

 分譲のある程度高値のマンションに、ひとりで住む十代男子、となると、違和感があって当然だ。

 俺には俺の事情ってものがあるんだけど、胡散臭がられるのも仕方ない、とも思う。いやいやながらの納得だ。

 その不審の渦潮のなかに飛び込んできた、大騒ぎする女子高生。

 噂話に花を添えてください、と宣伝しているようなものだろう。

「開けてくださぁい! コウヤく~ん!」

 俺の焦りをよそに、がんがん、敵は拳で派手に玄関を叩きまくる。

 ドアベルを使わないところが根性悪。

 仕方なしに、俺は立ち上がった。
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