B - Half
 がっくり肩を落とした俺に、穂波はビニール袋をふたつ、突き出した。

 ひとつは、ささやかなふくらみ。しよりがドアノブにひっかけていったもの。

 もうひとつは、キャベツやらジャガイモやらトマトやら、挙句に肉のパックまで容赦なく詰め込まれ、ぱんぱんになったビニール袋だった。

「今日はトマトシチューでお願いします!」

「普通は逆だろが……」

 にこにこ満面の笑みの穂波に、無駄と知りつつ俺は呟いた。
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